富山市オープンデータ推進ガイドライン
本ガイドラインは、市民の市政参加の促進と市民への説明責任を全うし、公正で開かれた市政の推進のために制定された富山市情報公開条例の主旨に則り、本市が情報公開の一手段として、本市の所有する公共データのオープンデータ化に取り組むための、基本的な考え方や取り組みの方向性などを示すものである。
オープンデータとは、機械判読に適した形で、二次利用可能な利用ルールの下で公開されるデータである。
(1)官民協働の推進
データを二次利用しやすい形態で公開することによって、これを使った新しい事業や公共サービス実現の可能性が生まれる。そのために市民団体、産・学との連携を促進する。
(2)地域課題の解決
市民による、情報技術を活用した地域課題への取り組み(シビックテック)と連携し、その解決策・実現手法を共に模索する。
(3)行政の効率化の推進
各部署の情報資産をオープンデータとして共用することで、内部事務の効率化を図る。民間企業等とのデータ相互活用の相乗効果により、公共サービスの更なる向上を目指す。
(4)行政の透明性の向上
積極的なデータ公開により、市民自らが本市の施策等に関して十分な分析、判断を行うことを可能とし、それにより市政の透明性を高め、市民の信頼を高めることを目指す。
(1)富山市自らが、積極的にデータを公開する。
(2)原則、機械判読が可能で、二次利用が容易な形式で公開する。
(3)営利目的、非営利目的を問わず活用を促進する。
(4)取り組み可能で積極的な活用が見込まれるデータから着手する。
(5)取り組みには優先順位をつけ、効率的かつ迅速に進める。
本市がオープンデータとして提供するデータは、公開されたデータを検索しやすい形で表示する「オープンデータサイト」を整備し公開していくものとする。
(1)原則として市が既に公開している情報については、オープンデータ化の対象とする。
(2)行政内部の分析や行政判断のために作成された資料等の内部事務データであっても、情報公開条例により公開を避けるべきと判断されるもの以外は、オープンデータ化の対象とする。
(3)法令又は条例等による制約があるもの及び、具体的かつ合理的な理由で二次利用が認められないデータについては、オープンデータ化の対象から除くものとする。
(1)公開するデータはコンピュータで処理し二次利用することを前提に、機械判読が可能な形式とするよう努める。
具体的には、特定のアプリケーションに依存しないデータ形式であるCSV※1等を中心とし、将来的にはより高度な利用が可能なRDF※2等での公開を目指す。
(2)オープンデータとして公開するデータは、原則クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(以下「CCライセンス」)※3を活用する。
ただし、単なる事実や数値データは著作権の対象ではないことから、CCライセンスは適用されない。
(3)本市が保有するデータをオープンデータ化する際には、データを作成した個人・法人等に係る著作権を尊重し、調整合意のうえ事業を進める。
(4)オープンデータの公開にあたっては、当該データの情報の時点や、更新日時等の補足情報を可能な限り明示する。
(1)公開されたオープンデータについては、定期的なデータの更新に努め、利用者の利便を確保するものとする。
(2)オープンデータの利用規約を定め、オープンデータサイトに掲載する。
(3)データの公開に際しては、政府標準利用規約(第2.0 版)に準じ「富山市は、利用者が該当コンテンツを用いて行う一切の行為について何ら責任を 負うものではない」旨や、「編集・加工した情報を、あたかも富山市が作成したかのような態様で公表・利用することは禁止する」旨の二次利用の免責事項を利用規約に盛り込む。
(1)住民や民間企業のニーズの的確な把握、民間企業や教育機関が有する技術の活用、新規ビジネスによる雇用の創出等のため、NPO 等や民間企業、教育機関と協議し、官民挙げてのオープンデータ推進の枠組みの構築を図る(具体的な協働の取り組みとして、アイデアソン、ハッカソン等の実施、参画も検討する)。
(2)民間からの利活用の提案や新規データの公開依頼を受け付けるための窓口を設置する。また提案や依頼があった場合には、その内容を検討した上で、できるだけ速やかに対応する。
(3)オープンデータの意義、効果、推進について、職員への周知・啓発を継続的に行う。
(4)市民や事業者からデータを公募・収集する際や業務委託等によりデータを作成する際には、あらかじめオープンデータ化を念頭において、著作権や納品データのデータ形式などに配慮するよう努める。
オープンデータは富山市最高情報統括責任者(CIO)のもと、全庁的な体制によって推進するものとする。
本ガイドラインの内容は、今後の国の動向や技術的な変革などに応じ、随時改訂していくものとする。
カンマでデータ内の項目を区切るテキスト形式のファイルで、各種テキストエディタやExcel 等でも使用できるなど、汎用性が高い。
※2 RDF
情報についての情報(いわゆるメタデータと呼ばれるもの。データ作成者、タイトル、更新日など)を標準化された形式で記載するための言語。Web 上のデータ資源を記載する際に使用されており、効率的にデータの管理や検索などが行える。
※3 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
国際的非営利組織クリエイティブ・コモンズ(以下「CC」)が定めた新しい著作権ルールで、著作権者が自身の著作物の取扱いを明示的に記載するために使用する。主な記載方法として、出典明記(BY)、非営利のみ(NC)、改変禁止(ND)、CC ライセンス継承(SA)の4つがある。これらを組み合わせて使用し、CC-BY-NC-ND とした場合は、出典表示「必須」、商業利用「禁止」、改変「禁止」となる。